第2章 泳ぐのは『好き』ですか?
「あ!」
葉月くんが何か思いついたように
手をポンと打った。
「じゃぁさ!楓ちゃんは大会には出ない!それでどう?泳げるけど競うことにはならないでしょ?」
葉月くんは目を輝かせていった。
「…は!?」
「あぁ!確かに!それなら部活も設立できるし、西島くんも泳げるし、お互いに利害が一致するよな!」
橘先輩も嬉しそうに目を輝かせた。
「え、いや、ちょっと!」
「な!いいよな?ハル?」
橘先輩は優しい笑顔で七瀬先輩の方を見つめた。
しばらく押し黙っていた七瀬先輩は口を開いた。
「勝手にしろ。」
その発言に葉月くんは飛び上がって喜んだ。
橘先輩も一緒に喜んでいた。
心なしか七瀬先輩も嬉しそうな様子だった。
…何この雰囲気…
今更『入りません!』とは言えねぇ!!!
そんな雰囲気に流されるまま
私は入部届けに捺印してしまったのだった…。