第2章 泳ぐのは『好き』ですか?
予鈴が鳴り、授業が終了する。
それと同時に葉月渚は私の元へやってきて、
私の手を掴んだ。
「行こう!楓ちゃん!屋上へっ!」
「は!?お、おい!」
私はほぼ引っ張られる感じで屋上へと向かった。
葉月くんが屋上のドアを勢いよく開けると、
眩しいばかりの日光と冷たい風が一気に室内になだれ込んだ。
眩しくて目が眩んだ。
「ハルちゃん!マコちゃん!お待たせぇー♪」
そんな私の事もお構いなしに、葉月くんはズンズンと歩き始めた。
その先には明らかに上級生の二人組みがお弁当を食べていた。
私は二人に軽く会釈をする。
二人も私に向かって会釈してくれた。
「えぇ!?渚、その人って…」
茶髪の優しそうな顔をした先輩は驚いた顔で私を見つめた。
一方、黒髪のすまし顔の先輩は無表情で私をじっと見つめて居た。
二人の反応を見て、
葉月くんはニヤリと笑った。