第2章 泳ぐのは『好き』ですか?
は!?
水泳部ってないんじゃないの!?
私は慌ててプールの方を見た。
枯れ果てて荒れ果てたプールがそこにはあった。
「は?ここって水泳部って…あんの?」
プールを指差しながら
葉月くんの方を見ると、
葉月くんはニッコリと笑った。
「ないよぉ!」
「は!?」
何、こいつ。
私の事茶化してるのかな。
あー、変な奴に絡まれたなぁ…。
「茶化すのも大概にしろ。それに僕は水泳はもうしない。」
私は立ち上がり、葉月くんに背を向け屋上の出口の方へ歩き出す。
葉月くんは軽々と私の前に回りこみ
再びニコっと笑う。
「なんでしないのー?泳ぐのめちゃ速かったじゃん!もったいないよぉー!一緒に水泳しようよぉー!ね?ね?」
葉月くんは私を通さないかのように
両手を広げて出口の前に立った。
「いやって言ったらいや!邪魔だからどいて。教室戻れない。」
「え~?水泳部入るって言ってくれなきゃどかなーい!」
葉月くんは相変わらずヘラヘラと笑う。
なんだか無性にその笑顔に腹が立つ。