第5章 コンパス
松本side
「松潤、ありがとう」
あれから酔いが冷めたらしい二宮係長は
相葉の腕の中で頬を真っ赤にしていて
そんな二宮係長を抱き寄せながら
相葉は玄関で俺に片手を差し出してきた
「今度メシ奢れよ」
笑いながらその手を軽く握ると
太陽みたいに相葉も笑った
「大野さんも、突然すみません、ありがとうございました」
そう言って2人は手を繋いで玄関を出ていった
リビングに戻るとなんだかいろいろありすぎて
大野さんとソファに沈み込む
「突然、でしたね…」
「でも、よかったな…幸せそうだった」
「そうですね…」
ずっと相談に乗ってきたから
相葉の恋が叶ったのは素直に嬉しくて
そのままぼんやりとしたまま暫く大野さんと過ごしていた
俺も、いつか大野さんとあんなふうになれたらいいな…
そんなことを考えてると
「俺もそろそろ帰るかな…」
大野さんが立ち上がった
「あ…はい、なんかバタバタしちゃってすみません…」
「それは松本くんのせいじゃないだろ、ハンバーグおいしかった、ごちそうさま」
「いえ、また来てください…」
そう言うと大野さんが嬉しそうに笑った