第5章 コンパス
松本side
ドキドキが収まらないまま玄関のドアを開けると
何故か二宮係長が立っていた
二宮係長はそのままふらりと玄関に座り込む
「二宮くんっ!?」
俺の声に驚いてきてくれた大野さんが声をかけた
「ど、どうしたんですか…?」
俺もおそるおそる座り込む二宮係長に手を差し出して
とりあえず立たせようとすると
ふわっと二宮係長から酒のにおいがした
酔っ払ってる…?
大野さんも手伝ってくれて
支えて立たせてなんとかリビングのソファに座らせた
「二宮係長…?」
大野さんと二宮係長の前に回って顔を覗き込むと
「ぅあっ」
突然二宮係長が俺の肩をぐっと掴んできた
「松本くんっ」
「は、はい…っ」
勢いよく呼んできたと思ったら
途端に不安そうに瞳を揺らして…
「相葉くんと付き合ってるんですか…?」
「は…はいっ!?」
二宮係長の言葉に隣の大野さんも驚いてる
「ちょ、違いますからねっ!?」
なんだかわかんないけど
いろんな誤解を解きたくて
「相葉は同期のただの友達ですっ」
いろんなことが起きすぎて
未だ心臓をバクバク言わせたまま主張した