第5章 コンパス
松本side
転びそうになった大野さんを支えたら…
熱い瞳で見つめられて…
その頬は酒で赤らんでいて…
大野さんの瞳から目が逸らせなかった
そのまま下がろうとすると
後頭部を手のひらで包まれて
腕が引っ張られて…
大野さんの唇が近づいてきた
そして…俺の唇に触れた
「…っ」
突然の出来事に顔が一気に熱くなる
大野さんと…キス…したんだ…
そう思うと立っていられなくて
カクっと膝が崩れた
「あっ…すいませ…っ」
支えてたから大野さんも一緒に床に座り込んだ
「…いや、悪い…」
見ると大野さんも真っ赤な顔をしていて…
なんでそんな顔するんですか…?
なんで俺にキスなんてしたんですか…?
俺…うぬぼれても…いいですか…?
俺のこと…受け止めてくれますか…?
ふらりと立ち上がろうとした大野さんの腕を
今度は俺が引っ張って、床に座り込んだまま
大野さんの首元に顔を埋めた
ドクドク…と二人の鼓動が重なっている気が、した…