第5章 コンパス
大野side
松本くんが試験勉強を始めてから、飯に誘いにくくなった。
まあ、松本くんをアレのネタにしてしまった後ろめたさもなくはないけど…
でも毎日頑張ってる姿をみたら、なにかしたくなって…
最近、仕事中に疲れたような顔を見せることがあったから、思い切って飯に誘ってみた。
それから、松本くんはなんだかいきいきと仕事をし始めて。
俺と飯に行けるのが嬉しいのかな…
なんだかうぬぼれそうになった。
18時を過ぎた頃、喫煙所で休憩していたら松本くんが現れた。
「大野さん、僕おわりました」
「あ、そうか。俺も出られるから行こうか。決めた?なにが食いたいか」
「あ、えっと…まだ迷ってて」
「いいよ、じゃあ歩きながら決めよう」
松本くんの車で一旦家まで送ってもらって、着替えたら歩きで集合。
こうしないと二人で酒飲めないから…
集合して歩き出して、ああでもないこうでもないと言いながら歩くのが楽しかった。
「あ、ここ…」
「韓国料理?」
「参鶏湯がすきなんですよね…俺…」
「えっ…」
俺は鳥がまるごとあんな姿で居るのが…苦手だ…
だが松本くんが好きならっ…
「は、入ろうか!」