第4章 USBメモリ
大野side
帰りの新幹線は、松本くんもなんだか元気がなくて。
せっかく隣同士になったのにあんまり話すこともなく。
トンネルばかりの北陸新幹線は外の景色も見えなくて。
まるでそれは松本くんへの心のようで。
俺には真っ暗で見えない。
男同士…
そうだよな。俺たち男同士だもんな。
窓に映る俺の顔はなんだか情けない顔で。
隣に座る松本くんの顔も映ってたけど、なんだか情けない顔に見えた。
「松本くん?」
「あっ、はい」
「なんか冴えない顔してるけど、大丈夫?」
「大丈夫です。体調は」
なんだか含みのある言い方だった。
「じゃあ、体調以外が悪いの?」
「えっ…」
その時車内販売が来たから、止めてコーヒーを買った。
「ほら、飲めよ」
「…ありがとうございます」
ずずっと二人でコーヒーをすすりながら、また無言になった。
…うじうじしててもしょうがねえな…
俺、そういう性分じゃねえし!
「なあんだよ!元気出せよっ!」
バンバンと肩を揺らしたら、コーヒーが松本くんのホワイトジーンズにこぼれてしまった。
「あっ…!すまん!」
慌ててハンカチを出して拭いた。
あ、ここ…もっこり…