第4章 USBメモリ
松本side
2日間の社員旅行
行きは新幹線もバスもずっと大野さんと隣の席で、幸せすぎる始まりだった
でもそろそろ目的地に着く
研修旅行だからもちろん見学やらがメインなわけで…
ずっと浮かれた気分ではいられない
「ふぅ…」
深く息を吐いて気持ちを引き締めた
「大丈夫か?」
疲れたようにでも見えてしまったのか
大野さんが俺を覗き込んでくる
「あ、大丈夫です、全然」
軽く乱れたジャケットを着直しながら言うと
そうか、と笑った大野さんは
着くまでの少しの間、会社の予備知識を教えてくれた
「…でかいな…」
バスを降りてちょっと歩くと
目の前に大きなビルが現れて、思わず心の声が漏れた
受付に行くと
担当者に繋いでくれて大きな会議室に案内される
「本日はよろしくお願い致します」
大野さんと担当者が名刺交換をして、なにやら話をしているのを見ながら
パラリと資料に目を通した
その後に担当者から説明があって…
少しでも大野さんの役に立ちたくて真剣に耳を傾けた