第4章 USBメモリ
大野side
10月に入って、社員研修旅行の日がやってきた。
今回は北陸新幹線が開通して、企業誘致を積極的にすすめている富山県になった。
水が豊富で土地もたくさんある。
しかも地震が少ない。
新幹線が開通したことで、首都からのアクセスも良好。
本社機能を移転している企業も少なくないということで、見学ツアーが組まれた。
営業5課は2日間の旅に出る。
俺はいつもはこういうの面倒なんだが、今回はワクワクしていた…
だって…俺の隣には…
「大野さん、車内販売きましたよ。コーヒー飲みますか?」
「あ、ああ…頼む」
新幹線の席は松本くんと隣になった。
小銭を几帳面に払う松本くんをじっと見る。
その拍子に、通路の向こうにいる二宮くんと目があってしまった。
不思議な物を見るような顔してこっちみてるから、しっしと手を振って、窓の外を見た。
だが、真っ暗…さっきっからトンネルばっかじゃねえか…
富山に着いたら、駅前に待っていた観光バスに乗り込む。
行き先は黒部。
大手のサッシメーカーがある。
この企業が、首都圏からの企業誘致を積極的に進めている。
また、松本くんの隣ゲット!