第3章 ホワイトボード
大野side
松本くんの運転で家まで送ってもらった。
おセンチになっていた俺は、少しでも松本くんと長く居られて、単純に嬉しかった。
作ってくれた飯はすごく旨くて…
それに一緒に居てどきどきするけど、とても居心地が良くて。
だから、また来てくださいって言われた時は、タコ踊りするほど嬉しかった。
しなかったけど。
「…じゃあおやすみなさい」
助手席のほうに身を乗り出して、窓を開けて俺を見上げてる。
その顔もとても綺麗で…
「ああ…じゃあまた月曜に」
「失礼します」
「おやすみ」
遠くなるテールランプを見送りながら、心がほっこりと温かくなっていることに気づく。
今までこんな感情、持ったことがない。
胸を手で撫でながら、家に入った。
しわしわになったスーツをクリーニングの袋に突っ込んで、ぼけっとリビングで座り込んだ。
「うわお…」
俺、本当に恋に落ちたんだな…
スマホを握りしめて緑のアイコンをタップする。
震える指で、メッセージを打ち込む。
”今日はありがとう。今度は…”
おまえが食べたい…
「なんて言えるかっ…ボケっ…」
無難にハンバーグにしておいた。