第3章 ホワイトボード
松本side
映画が始まって
チラッと見た大野さんも…俺も、画面に視線を向ける
部屋には映画の音と
時折飲み物を飲んだりするときの音だけ
でも隣に温もりを感じる
たまに膝とか腕とかが掠めるようにあたる
それだけで幸せだった
3時間近くの時間をそうして過ごして
終わったときには夕方になっていた
「「んー…っ」」
同時に体を伸ばして顔を見合わせて笑い合う
部屋を明るくしてから
あのセリフがよかったとか
あのシーンはかっこよかったとか
感想を語り合っていると
ぐぅっとお腹の虫が鳴いた
「あ…」
お腹を抑えると
ふふっと笑われる
「メシにするか?…俺も何か手伝おうか」
最後は遠慮がちに聞かれて
でも俺には嬉しい言葉で
「じゃ、じゃあサラダ、盛り付けてもらってもいいですか?」
一緒にキッチンに立てるなんて思ってもなかった
エプロンを持ってきて大野さんに貸して
並んでキッチンに立つ
体半分が敏感になって
牡蠣に衣をつける手が若干震えた