第3章 ホワイトボード
大野side
松本くんが用意してくれたのは冷たいジャスミン茶。
それに洒落た焼き菓子…こいつは乙女なのか…?
50型のでかいテレビの前にテーブルとソファがあって、その正面のソファに並んで二人で腰掛けてる。
膝と膝がふれあいそうな距離。
なんだか落ち着かない。
「あー…松本くん。タバコ吸っていいか?」
「あ、はい…灰皿持ってきます」
俺も自分のカバンからタバコを取り出してくる。
コトンとテーブルに灰皿を置いてくれて、松本くんはドウゾと手で俺の前に押してくれた。
「さんきゅ」
タバコに火を点けると、松本くんが部屋の電気を消してデッキのリモコンを手に取る。
薄暗い中、再生が始まった。
灰を灰皿に落としながら、そっと松本くんの横顔を伺った。
テレビの光が青白く松本くんの横顔を浮かび上がらせる。
やっぱり彫刻みたいな綺麗な顔。
煙を吐き出しながら画面を見ると、まだ本編は始まっていなかった。
「てか、これなんの映画?」
「ニューシネマパラダイスです」
「ああ…俺、ちゃんと見たことないな」
「良かった。大野さん好きそうかなと思って…」
めっちゃ長いんじゃなかったか…?
ま、いっか。