第3章 ホワイトボード
大野side
「ハンドドリップなんて、本格的だな」
「大野さん、お好きですか?」
無邪気に笑いながら言う松本くん…
「ああ…好きだよ…」
じっと目を見て言ったら、また松本くんが赤くなった。
「ばっ…コーヒーがだよっ」
「えっ…ああ、そう、ですよね…」
本当は、松本くんが好きだ。
だけどそんなこと、一生言えないだろうから…
せめて、ね。
マグカップから漂ってくる芳香を感じながら、旨いコーヒーを飲んだ。
「…彼女…とか居ないの…?」
「えっ…?」
「松本くん、そんなにカッコいいのに女の影が見えないからさ…」
「お、大野さんこそ…居ないんですか?」
「俺はぁ…いっつも振られてばっかだ」
「そうなんですか…?」
「見ての通り、いい加減だろ?俺…だから、女できても長続きしないんだよね…」
「確かにいい加減ですね…」
「おい…そこはウソでもいいから違いますっていうところだろ…」
「じゃあ今、彼女居ないんですか?」
「ああ…いねえよ」
「…じゃあ…じゃあ…」
「ん?」
「晩飯もっ食べて行きませんかっ!?」
真っ赤な顔して言うから、思わず頷いた。
「…迷惑でないなら…」