第3章 ホワイトボード
大野side
松本くんの顔が近づいてきて…俺の首筋をくんくんしてる。
「うお、松本くん…っ?」
思わず固まってしまった。
「あっ…すいませ…なんでもないです…っ」
松本くんは真っ赤な顔して走り去っていった。
さっきは俺の手を避けたのに、今は至近距離…
「なんだよぉ…」
もう訳が分からなくてソファに座り込む。
心臓に悪い…
10年分くらいどきどきしてる。
今まで女と付き合っても、こんな気分になることなかったのに…松本くんだけ、なんでだろう…
松本くんの匂いのする服…
こんなことでたまらなく嬉しい。
浸ってたら、俺のスマホが鳴り出した。
「げ…本社だ…」
あっちはまだ金曜22時…
ちっ…残業してないで帰れバカ。
「おーの、すぴーきん?」
5課で扱ってる商品についての問い合わせで、カバンからタブレットを出して、矢継ぎ早にくる質問に答える。
「どんうぉーりぃ…ばぁい…」
答えてる間に松本くんが上がってきてた。
「どうしたんですか?」
「ん、本社から問い合わせ」
それから5課の扱う商品の話なんかをちょっとした。
目を合わせられるから、調子に乗ってどんどん話した。