第1章 ホチキス
松本side
5課の朝礼は
ほぼ二宮係長の進行で進んでいった
俺のことを紹介してくれたのも二宮係長
大野さんがしたことは緩い挨拶だけ
朝礼が終わるとすぐにあくびをしながら席に座る
…ほんとにこんな人が課長なのかよ
でもこの会社は実力がなければ上には登れない
疑問を込めて目の前に座る大野さんを見ていると
チラッとこっちを見た大野さんと視線が合った
またふにゃっと向けられる笑顔
俺はまたため息を飲み込んだ
業務が始まって数時間
働いてる以上課長に確認を取ることだって出てくる
不安を抱きつつも
「すいません大野さん、ここなんですけど…」
書類を持って大野さんのデスクまで行くと
「ん?なに?」
緩い返事で俺の持っている書類に視線を落とした
きちんと見てくれることに
ほっと安堵したのも束の間
「ああうん、いいんじゃないかな?」
ほんとにチラッと見ただけで返事が返ってきた
思わず
「ちゃんと確認お願いします」
書類を一応上司である大野さんに突き返していた