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大野さんと松本くん

第1章 ホチキス


大野side

「おはようございます、今日から異動してきました松本です」

朝一、デスクにつくと見慣れない濃い顔。
ああ…こいつが噂の松本主任か…

「おはよう、松本くん、よろしくね~」

ちらりと松本くんが俺のデスクに目を落とした。
前日、広げたままにしていた釣り雑誌を見ている。
ちょっと憂鬱そうな顔をしたら、また俺の顔を見た。

「よろしくお願いします」

そう言うと一礼して、俺の前のデスクについた。

端正な横顔…
堅物なんだろなあ…そんな印象を受けた。
そんなに肩肘張ってたら疲れるよ?

8:45
一斉に課内が立ち上がる。
朝礼が始まった。
俺はいい加減だから、適当に話をして終わる。
細かい連絡は係長の二宮がしてくれるから、楽なものだ。

俺が勤めるのは外資系の商社だ。
そして俺は、営業部営業5課の課長。
5課では細々したものを扱う。
だから売上はそんなにナイ。
実力主義だから俺のような若造でも役職が付く。
年棒制で、ボーナスはない。
でかい企業体だから、同じ営業部でも扱う商品や取引先がちがう。
課が違うと他の社員とは顔を合わすこともない。
松本くんも初めて見た。

朝礼終わり、あくびが出た。
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