第3章 ホワイトボード
松本side
二人きりで、大野さんの部屋よりもずっと狭い空間にいることに緊張して
それを誤魔化そうと飲んでいたら
あっという間に酔いが回って思考がふわふわしていた
「大野さぁん…聞いてるんですかぁ~…?」
「はいはい…聞いてるよ…」
もっとちゃんと聞いてほしくて
俺を見てほしくて
「適当に返事しないでくださいよぉ~…」
手を伸ばしてテーブルの上の大野さんの手を掴む
ピクっと跳ねた気がしたけど
気にせずにぎゅっと握った
「ふふ…大野さんの手冷たくてきもちーですねー…」
ひんやりとして気持ちいい手をペタペタと触りながら大野さんを見ると
「酔ってるから松本くんの手が熱いんだろ…」
視線を合わさずに言われた
「もっと大野さんも飲みましょ?」
俺から視線を合わそうとしても逸らされる…
たぶんシラフだったら絶対言わないし
てか俺がこんなに大野さんを見つめることなんでできなかった
でもアルコールのせいで蕩けた脳は欲望に素直で…
「大野さんもっとこっち見てくださいよ~…」
握った大野さんの手をくっと引っ張った