第2章 温度計
松本side
キス…されるのかと思った…
でもハッとしたように離れた大野さんは
何事もなかったかのようにレンゲを取って
俺に帰れと言う
でも…
俺は大野さんから視線が逸らせない…
「まだ…もう少し看病させてください…」
大野さんを見つめながら言うと
大野さんも俺を見た
その顔がだめだ…そう言いそうで…
でもまだココにいたくて…
大野さんの隣にいたくて…
「薬っ…飲みますよね?水持ってきますね」
何かを言われる前に立ち上がって水を持ってきた
「冷えピタも買ってきたんですっ…使ってください」
買い物してきた袋から
冷えピタを持ってきて渡すと
「ごちそうさま…うまかったよ」
器をお盆に戻した大野さんが
それを持って立ち上がろうとしてた
「だめですっ、寝ててください、俺がやりますから!」
ゆっくりしててほしい気持ち半分
ココにいる理由がほしい気持ち半分で
大野さんの手からお盆を奪って
それをキッチンに持って行って洗った
そこまでやったら
もうできることが思いつかなくて
寝室に戻って冷えピタのゴミを手に持ったまま
立ち尽くしてしまった