第2章 温度計
松本side
朝礼が終わって
仕事で手が離せなくなる前に
大野さんの様子を見に行こうとすると
少し前に櫻井課長が見えた
医務室に入っていく姿を見ながら
風邪でもひいたのかな…なんて思ってドアを開けると
大野さんの額に
自分の額をくっつけてる櫻井課長がいた
「大野さん、どうですか?」
冷静なふりして言葉を吐き出しながらも
黒い感情が溢れてきそうだった
こんなとこでこんなことしちゃう関係が気になった
俺の声に肩を少し跳ねさせて先に反応したのは櫻井課長
「っ、なんだ松本か…久しぶりだな」
「お久しぶりです、課長も風邪ですか?」
櫻井課長を見る瞳に力がこもってしまう
「いや…大野くんが熱で会議に出られないって連絡してきたから…」
「そうですか、それならもう用は済みましたよね?」
こんな言い方をしたらバレてしまうかもしれないと思うのに、抑えられなかった
櫻井課長が出て行ったのを見てから
俺たちのやり取りをただ眺めていた大野さんの
ベッド脇にしゃがんで
「なにか飲んだりできそうですか?」
櫻井課長が触ったのを消すように
額に手を当てた