第2章 温度計
大野side
「やべえな…」
松本くんの触った肩が熱い。
なんだか真剣な目で俺のこと見下ろしてた。
考えてるうちに、なんだかむくむくしてきて…
アレ…俺の息子ちゃん?
「なんだこれ」
きっと熱のせいだ。
そう考えて目を閉じた。
頭の中を真っ白にしよう。
……なかなかならない。
しょうがないから仕事のことを考えよう。
「あ…」
やべ…今日、課長会議…
すぐに下に置いてたカバンからスマホを取り出した。
櫻井くんにでも言っておくか…
電話をして、熱があって医務室にいると伝えた。
すると電話はすぐ切られた。
「は?なんだってんだよ…」
もうだるくて起き上がる気力もない。
熱がさっきよりも上がった気がする。
壁に貼られたカレンダーをふと見上げると、今日に×マーク。
「げ…ドクター休みじゃん…」
どうしようと思っていたら、医務室のドアが開いた。
「大野くん寝てる?」
カーテンを開けて櫻井くんが入ってきた。
「熱、どれだけあるの?」
そう言って覗きこむと俺の額に自分の額をくっつけた。
「にゃ!?」
その時、櫻井くんの背後に松本くんが立っているのが見えた。