第8章 プレゼント
大野side
こんなに仕事頑張ってるのに…
デスクからきびきび働く潤を眺めながら、昨日の言葉を思い返していた。
ついてきてくれる。
そう言ってくれたけど…
ニューヨーク本社に行ったら、少なくとも5年は帰ってこれないだろう。
ヘタしたらずっとあっちかもしれない。
そんな長い間、潤と離れているなんて無理だと思ったから断ろうと思ったのに…
潤の気持ちは無駄にしたくない。
俺は立ちあがってオカケンの部屋に行った。
幸い、在室していた。
「どうした。大野」
「部長…あのさ、あの話だけど…」
オカケンの人差し指がそっと俺の口を覆った。
「言わなくてもわかる。ジュリーには交渉してるから」
「ふえ?」
オカケンはきっと俺が断るだろうと思って、先手を打っていた。
「松本くんも一緒に行ってもらうよ。それならいいだろ?」
「ええっ!?」
俺達が抜けた穴は、オカケンがどうとでもすると請け負ってくれた。
だから、安心して本社に行ってこいと。
そう背中を押してくれた。
夜、外回りから直接家に帰った。
既に潤は戻ってて、キッチンに明かりが灯ってた。
「ただいま」