第2章 温度計
大野side
松本くんに無理やり医務室に連れて行かれた。
二宮くんが口開けてこっちを見てた。
昨日のしおらしさはどこへ行ったんだ…
まだ始業前だったから、ドクターは来ていなくて。
松本くんが総務まで行って鍵を借りてきて中に入った。
「とりあえず座ってください」
「平気だってぇ…」
「だめです」
きっぱりと言い切られて、しょうがなく俺は丸椅子に座った。
松本くんは体温計を探し出してくると、ドクターの椅子に腰掛けて俺のネクタイを緩めて、シャツのボタンを二個外した。
「うわおっ…」
なんだか知らないが、心臓が跳ねた。
「あっ…ごめんなさい!嫌ですよね…」
「ち、違う…脱がされたことないからびっくりしただけ…」
「あ…え?え?あ…」
なんだか知らないが松本くんも動揺している。
顔が真っ赤だ。
またそれが綺麗で…
色白だから頬を染める赤が鮮やかなんだ…
「綺麗だなあ…」
熱があるから思ったことが口をついて出てしまった。
「は…?」
呆気にとられてる顔をみて我に返った。
松本くんの手から体温計をひったくって脇に挟んだ。
ピピっと音が鳴るまで、凄く長く感じた。