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大野さんと松本くん

第2章 温度計


松本side

「はぁぁー…」

ベッドの中で大きく息を吐き出した

でもそれは
昨日までのため息とは違って…

頭の中をぐるぐると大野さんが回る

目尻に触れた指先
髪の毛に触れた手
それから…俺を見る視線も
ふわっとハンカチから香ったにおいも

思い出すだけで心臓が騒がしくなる

伝えることはきっとできない

でも想うだけなら許されるだろ…

早く会いたい

こんなに仕事が待ち遠しかったのは初めてだった


昨日のミスがあったから
いつもより早目に出勤した

いつもより少し遅く大野さんは来た

挨拶をして

「あ…コレ、ありがとうございました」

言いながら昨日借りたハンカチをカバンから出したとき

目の前の大野さんの体が少しふらついた

「えっ…大丈夫ですかっ?」

慌てて差し出した腕で体を支える

咄嗟に触れた体にまた心臓が騒ぐ…けど…

触れた体は布越しでも体温が少し熱い気がした

「ああ、悪い…大丈夫…」

そう言う大野さんの腕を掴んでオフィスを出た

「ちょ…松本くんっ…?」

「大丈夫じゃないですよ、熱だけでも測りましょう」

そのまま大野さんを医務室まで引っ張った
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