第8章 プレゼント
大野side
今日も1日が始まる。
潤と別れて会社近くのコンビニから歩いていると、スーツの懐に入れていた会社用のスマホが鳴り出した。
「げっ…ジュリーだ…」
半年前にニューヨーク本社に戻っていった部長のジュリーからの着信…
恐る恐るスワイプしてスマホを耳に当てた。
「う~ん…」
社食でランチを目の前にしながら、腕を組む。
「どうしたの大野」
右側に座る櫻井が顔を覗きこむ。
「飯のときは悩まない方がいい。消化に悪い」
左側に座るオカケンが番茶を飲みながら、トレイを俺の前に押し出した。
「早く食え」
「うるせえな…」
潤は今外回りでいない。
なぜか潤がいないときはこのメンツで飯を食うことが習慣になりつつある。
「…あれか…ジュリーから連絡行ったのか?」
「あ、まじで。オカケンしってんの?」
「おまえの上司だろうが…とっくに知ってる」
「早く言えよ…」
「人事に関わることだから言えるか」
「だよなあ…」
俺に、ニューヨーク本社に来いという。
「断るよ」
「なんで」
「だって…」
言いよどんだ俺を、二人はさもありなんという顔でみてる。
うるせ…