第8章 プレゼント
大野side
特上寿司を頼んで届くまでの間、潤が教えてくれたお吸い物を作る。
「智、じょうず…」
味見の小皿を持って行ったら、潤はそう褒めてくれた。
くしゃっと頭を撫でてキッチンに戻ると、火を消した。
ちょうどその時インターホンが鳴って、寿司が届いた。
潤は動けなかったから、慌てて財布を握って飛び出していく。
「潤、来たよ」
「うん、ありがとう」
キッチンまで動くことができなそうだから、リビングのテーブルに寿司を並べた。
キッチンでお椀にお吸い物を入れて戻ると、ローテーブルを囲んで手を合わせた。
「いただきまーす!」
特上だから旨くて。
潤も子供みたいに目を輝かせてうまいうまいって食べてる。
嬉しくなってうにとかいくらとか、潤の折に入れた。
「えっ…智?」
「いいから食えよ。ウマイんだろ?」
「旨いけど、智の分でしょ?」
「いいんだよ。潤の誕生日なんだから」
「あ…じゃあ、遠慮しないっ」
そう言って俺の頬にちゅっとキスをくれた。
食べ終わると折を下げて、冷蔵庫に隠しておいたケーキを取り出した。
「潤、デザート」
「え?ケーキ?」
小さいケーキだけど…喜んでもらえるかな。