第7章 マスキングテープ
大野side
「俺より…部長の方が良いのかよ…」
「え?なに言って…」
「さっきキスしてただろ」
「は?そんなことしてないっ」
「俺、見たんだよ…絶対許さないからな…」
ぎりっと窓に押し付けた腕に力を入れる。
「違うって…誤解だよっ…」
「うるせえっ…」
涙が出てきた。
なんで?
俺、こんな泣き虫だったか?
潤を好きになってから、なんでこんなに泣けるんだろう…
涙を見られたくなくて、また潤に無理やりキスをする。
「待って…話を聞いて…」
その言葉も唇で塞いでしまう。
言い訳なんて聞きたくない。
じっとされるがままに岡本部長と唇を重ねていた潤が許せなかった。
「待ってっ…待てって言ってんだろうがっ」
ドンと押されて後ろによろけた。
足がぶつかって椅子にそのまま座ってしまった。
「誤解だって言ってるだろ!じゃあ智はなんだよ!櫻井課長とベタベタベタベタして!ちゃんと断ったんじゃないのかよ!」
「なんだと…!?誰のためだと思ってんだよ!」
「誰のためだよ!理由があってあんなことしてるのかよ!?」
「おまえのためだ!岡本部長がおまえに近づかないように…」
「え…?」