第7章 マスキングテープ
松本side
「どういうこと…?」
智の言葉の意味を探ろうとすると
頭が少し冷静になってきた
智の目尻に浮かんだ涙を指先で掬うと
智がまっすぐ俺を見つめてくる
「岡本部長は…ゲイなんだよ。潤は気に入られてるんだ」
そして言われた言葉に
納得してしまった
岡本部長から受ける視線の居心地の悪さも
智が気を付けろってあんなに言ってた意味も…
「だから…二人になるなって言ってくれてたの…?」
近くから椅子を引っ張って
智と向き合って腰掛ける
「そうだよ…それなのにお前は…」
「ちょっと待って、聞いて?キスは誤解なんだよ…」
智の言葉に食い気味に反論して
言い返される前に言葉を続けた
「さっきは確かに二人きりだった。でもキスはしてない。クマが出来てる、疲れてるのかって目元…触られたけど…それだけだから…」
信じて?と智をじっと見つめると
智の睨むような視線が柔らかくなった
「なんだ…そっか…」
「ん…でも、二人にはなったから…ごめん…でもさ、それと櫻井課長とどう関係あるの?」