第7章 マスキングテープ
松本side
それからも社内で顔を合わせるたびに
岡本部長からは食事に誘われた
智は俺に岡本部長には気を付けろと言う
でもその意味をちゃんと聞く暇もないほど、仕事も忙しい毎日だった
「ふぅー…」
でも今日は珍しく昼休憩くらいはしっかり取れそうだったから
智誘って近くのカフェで昼メシでも食べたいなと思って前のデスクを見ると、さっきまでいたはずの智はもういなかった
あれ?もうメシ行ったのかな…
まあ課長の智は俺より忙しいし仕方ないか…
そう思ってコンビニにでも行こうとエントランスに出ると
「…智、と櫻井課長…?」
隅の方で立ち話をしている2人がいた
何を話してるのかまでは聞こえないけど
仲良さそうに至近距離で話してる
「…断ったんじゃねーのかよ…」
俺には部長と2人になるな、とか言ったくせに…
俺は最近マトモに話す時間もないのに…
忙しさで気持ちの余裕がないのもあって
いつもより大きなヤキモチが気持ちを覆ってため息が出た
智たちの前を通ってコンビニに行くのもしたくなくて
そのままオフィスに戻った