第7章 マスキングテープ
大野side
週末、充分に潤を充電して月曜出社する。
潤がまめにシャツをクリーニングに出してくれるから、最近の俺はパリッとしている。
今日は年末最後の会議の日。
課長会議はいつになく熱気に包まれていた。
日本人初の営業部長が誕生したからだ。
今まではニューヨーク本社から来てたアメリカ人だった。
ニューヨーク帰りのエリート部長は、ものすごくいい男だった。
「東京本社営業部長を拝命しました岡本健一です。お久しぶりの人も初めましての人も、よろしく」
長い前髪をかきあげながら、妖艶に微笑んだ。
すげぇ…迫力…
会議が終わって櫻井くんに捕まる前に帰ろうとしていたところで、岡本部長に呼び止められた。
「へ?なんでしょう」
「君のところに松本くんって居たよね?」
「あ、はい…それがなにか?」
「僕のところに来るように言っておいてくれない?」
「え…?どのような用件ですか?」
「彼は僕の母校の後輩でね。入社の時から目をかけてるんだ」
そう言われると何も言えない。
部長が去ると、櫻井くんが後ろからつぶやいた。
「あの人、ゲイなんだよね…」
「えっ」
「恋人取られないように気をつけろよ」
おーまい…