第6章 マグネット
松本side
部屋を予約してくれていたと知って、一気に体が固まるくらい緊張してきた…
「行こう…」
不安はいっぱいある…
男に抱かれるなんて、もちろん初めてだし…
…実は、詳しいことはよくわからない
でも、大野さんに抱き締めてほしくて…
キスしてほしくて…
立ち上がって、大野さんの半歩後ろを歩いた
心臓が壊れそうなくらいドキドキしてる…
緊張と不安と期待と…いろんなものが混ざって小さく震える手をぎゅっと握りしめた
「ありがとう、ございます…」
大野さんがドアを開けてくれた部屋に入って…
どうしていいかわからなくて
とりあえずソファに浅く座る
緊張を逃がすように大きく息を吐き出すと
ソファの隣が沈んだ
「松本くん…」
小さく呼ばれて
視線だけ大野さんに移すと
右手が軽く掴まれて大野さんのほうに引き寄せられた
体が、大野さんの腕に包まれる
あったかい、大野さんの腕…
久しぶりに鼻をくすぐった大野さんのにおい…
「おーのさん…」
体をくっつけると、大野さんの鼓動もドキドキしてた