第6章 マグネット
松本side
大野さんはやっぱり俺を避けていた…
でも、それをしっかり考える暇もなく
伝えられたのは初耳な俺の縁談の話
…え?
もしかして俺、大野さんに部長のお嬢さん勧められるためにこんな高級ホテルにいるの…?
「それで…」
ただ大野さんを見ていると、大野さんがまた口を開いた
「でも、その話はなくなったんだ」
「え…??」
「部長が今回の辞令で本社に転勤になったんだ」
数秒遅れでやっと頭が話についてきた
それと同時に…ほっとした
部長に気にかけて頂けていたのは嬉しいけど…縁談なんてお断りだったから
大野さんを諦めるなんてしたくないし、その気持ちを隠したままお嬢さんと話を進めるのも失礼だし…
だけど、実際そうなってしまったら簡単に断れるものでもないだろう…
「僕は…部長のお嬢さんとはお付き合いできないので…よかった、です…」
大野さん…この話があったから、俺を避けたんですか…?
それなら俺も…伝えても、いいですか…?
「僕、好きな人がいるんで…」
そう言って、まっすぐ大野さんを見つめた