第6章 マグネット
松本side
1週間、まともに大野さんと話せていない
話すのは、どうしても話さなきゃならない仕事のことだけ
明らかに…櫻井課長とのことを伝えに来たあの日から避けられてる
でも…まだ信じていたくて、諦めたくなんてなくて、どうしていいかわからないまま過ごしていた
そして、知らされた辞令
変わらず5課にいれることにホッと息を吐いた
火曜日
「おはようございます…」
いつも通り挨拶をしながらデスクにつくと
「松本くん」
大野さんに呼ばれた
「は、はい…っ」
なんだか…すごく久しぶりに呼ばれた気がする
視線を大野さんに向ける
「今週の金曜日、空いてるか?」
…一瞬、何を聞かれてるのかわからなかった
だって…信じていたけど…また誘ってもらえるとも思っていなくて…
「…え?」
「週末、空いてたら、メシ行こう。店は俺が予約しておくから」
「は、はいっ、空いてます!」
そう言うと大野さんは今までみたいに、ふにゃっと笑った