第6章 マグネット
大野side
きゅっと掴まれた腕にドキっとした。
思わず背中に手を回したところで松本くんの電話に邪魔された。
…なんかこんなのばっかだな…
ちって思いながらも、松本くんの友達みたいだから、ちっは取り消しておいた。
ラーメンを頂いて、夜も遅かったからタクシーを呼んで帰った。
物凄く名残惜しかったけど、しょうがない。
櫻井と話つけなきゃ…
つか、そもそも俺のことからかってるのか確認しなきゃ。
次の土曜、俺は櫻井くんを新宿に呼び出した。
南口のルノアールに呼び出すと、ほいほいヤツはやってきた。
話の内容が内容だから、他の席からは死角っぽいところに座った。
「あれ…?風邪ひいた?」
確かにあの日から風邪っぽかった。
よく見てんなコイツ…
「どうでもいいだろ。それよりさ…」
「この前の返事だろ?だめなんだろ?わかってるよ?」
俺の用件は終わってしまった。
「そ…じゃ、帰るわ…」
「いいの?帰って…」
暫く後、俺は気がついたら松本くんの家の前に居た。
帰ることもできずにぼけっとドアの前に立ち尽くした。
急にガチャっとドアが開いて、松本くんが出てきた。
「あ…ごめん突然…」