第6章 マグネット
松本side
俺には他に好きな奴がいると言って、じっと見つめられる…
まっすぐ俺を見てくる大野さんの瞳…
それはこの間…キスした日と変わらなくて…
俺、信じてもいいんですか…?
それなら…
「…櫻井課長に…好きな人がいるからって…正直に言ったらいいんじゃないですか…?」
俺が、してほしいことを言ってみた…
「そして…誤解されたくないから、あんなことしないでほしいって…言った方がいいと、思います…」
大野さんと目を逸らさずに言うと
「そうか…わかった、言ってみる…ありがとう」
少し大野さんの表情が緩んだ
「寒かったですよね…コーヒーもう一杯淹れましょうか」
大野さんが櫻井課長のことをそういうふうに思ってないことがわかったから…
あんなに拒んだのは俺なのに、もう少し一緒にいたくて…
…あ
「大野さん、ずっといたんですよね?メシ、食いました?」
ふと思って聞いてみると
「いや…、でも帰ってから何か適当に…」
やっぱり予想通りだった
「簡単なものしか作れませんが、何か作りましょうか?」