第6章 マグネット
松本side
どうしても大野さんの顔を見れなくて…挨拶回りから直帰する連絡をいれた
でも家に帰って1人にもなりたくなくて、相葉に連絡をして飲みに行くことにした
相葉は何も知らない
だけど俺の愚痴に最後まで付き合ってくれて
タクシーに乗りこんだのは遅い時間だった
「もー、松潤っ、ちゃんと歩いてよっ」
足元はふらふらだけど
どんだけ愚痴っても飲んでも酔えなくて
だからタクシーに乗ったとき
大野さんからの“家の前で待ってる”のメールを思い出したけど…
さすがにもういないだろ…
そう思って…だから
「大丈夫、ちゃんと帰るから…悪かったな…」
相葉にそう言って1人でタクシーに乗って帰ったのに…
ふらふらなまま家の前に辿り着くと
ドアのところに大野さんがしゃがみこんでいた
足音で大野さんが顔をあげる
「…松本くん」
立ち上がって大野さんが寒そうに鼻をすすった
「俺、ダメって言いましたよね…」
「…ごめん」
会いたくなかったのに…
会えてどこか嬉しい自分もいて…
こんな寒い中ただ帰すなんてできなくて…
「お茶、一杯飲むだけですからね…」
そう言って玄関のドアを開けた