• テキストサイズ

【R18 ハイキュー!!】幼なじみ 木兎光太郎との場合

第5章 好きなのに「好きといえない」ということ



「だから、この名詞が3人称だから、この動詞がこう変化して……」

プリントの余白に小さく人称変化を書き込むと、

「おおお……」

秘宝のありかを聞いたようなリアクションが返ってきた。

「初めて聞いたけど、すげぇわかった」

大きな手に握られた細いシャープペンが、教えたばかりの単語を空欄に書きこんでいく。

「初めて聞いたわけじゃないと思うけど……」

「俺授業中寝てるから」

「……だよね」

光太郎は興味のふり幅が激しい。

興味がある教科には食らいつくけど、興味のない英語のような教科は中学の時からダメ。

そのたびに「教えてくれ!」と泣きつかれて、こうやって図書室なんかで教えることが多い。

「この最後の問題は、ちょっとひっかけだから……」

問題のバックグラウンドや考え方を織り交ぜながら説明すると、

「おおっ、わかった!」

光太郎はさらっと答えを書き入れる。

「できたね。よかったね」

「サンキュー!!!」

光太郎はバカじゃない。

ちょっと気が向けばすぐに難しいことでも呑み込める頭がある。

「光太郎は頭がいいから、ちょっと気が向けば英語なんてすぐできるようになると思うけど」

「あームリムリ、俺バレー以外は興味ないし」

「でも今年受験だし……あ、でも光太郎は推薦か……」

既にインターハイの時点で沢山の大学からオファーが来てることは知ってる。

全国5本の指のアタッカーならどんな大学でも実業団でも欲しがるに決まってる。

「あー、そこまでまだ考えてねぇけど……つかおまえは?」

「……うん、一応勉強はしてる」

「どこ狙い?」

「……光太郎とは、大学で離れちゃうね、ついに」

そうだ、ついに光太郎と離れてしまう。

小学校からずっと一緒だったのに。

「お、おお……でも、別に学校違ったぐらいどってことない。会おうと思えば会えるんだし?」

「……だね」

違う。

会おうと思っても会えないもんだと思う。

接点がなければ、きっと光太郎とのつながりはなくなる……きっと。

だったら、この辺でついに私も気持ちを切り替える必要があるのかもしれない。

一歩を踏み出すのがいいのかも……しれない。

「あのさ、私、今、つきあおうかと思ってる人が、」

「はあっ!???」

/ 11ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp