第9章 女の気持ちがわからない
「つられちゃん…」
唇が離れて、頬に手を添える京楽。そんな、彼を見てつられは、慌てて離れる。後ずさる時に、ガンッ!と頭をぶつけた。
「京楽隊長…たら!もう、お戯れが過ぎますよ!」
あはは。と、ぶつけた頭を擦るつられを見て、京楽は彼女に近づいて、再び頬に手を添える。微かに、彼女は震えていた。
「戯れで…こんなことできると思うかい?」
「え?ソレは、どういう…」
「震え…止まらないね」
ーピカぁぁぁあっ!
ーガッシャーンッ!!!!
「きゃあっ!」
また、雷ッ?!と、咄嗟に京楽に再び抱き着くつられ。そんな、彼女を優しく抱きしめる。
ふと、つられの頭の中にある記憶が蘇る。
その時も、こんな豪雨の日だった。雷が、凄くて幼い頃のつられは、耳を塞ぎ体を丸くして部屋の隅で泣いていた。
『つられ?雷が、怖いの?』
コクリと、頷く。
『おいで』
貴女の温もりと、優しさに包まれたつられ。涙も、引っ込んだ。
「魅華…姉様…」
「つられちゃん?」
ボソッと、誰かの名前を呟く彼女に京楽は、思わず名前を呼ぶ。彼のの言葉に我に返る。
「アレ?私…?」
「つられちゃん…ごめんね。こんな…酷い事を…でも、信じてくれないかい?僕の気持ち…。。。」
「でも、私には…」
「分かっているよ、つられちゃんには浦原隊長がいるもんね…でもね…僕だって…彼に負けないぐらい…」
「違います…」
「え?」
「私は、喜助を愛してなんかない」
まさかのつられの言葉に、京楽は目を丸くした。
「私が、先にも後にも愛したのは…あの人だけ…」
「誰だい?」
「秘密です」
その時の彼女の微笑みは、今まで見たことない程に美しかった。。。