第8章 クリスマス企画
タッタッタッ!!と、現世から瀞霊廷に帰ってきた魅甘。猛ダッシュで、技術開発局の特別研究所に向かう。
「あっくん!まだ、絶対あそこにいる!!!」
〜魅甘が到着5分前・in特別研究所〜
阿近は、魅甘の予想通り特別研究所にいた。小さい頃は、隠れやすい場所が沢山あったから、ココを秘密基地なんて呼んでいた。
「ふぅ〜。アイツは、今頃…檜佐木と…」
いつもなら、魅甘に『ココ、禁煙!!』と怒られるが、そう言ってくれるうるさい奴がいない、、、。
「あ、雪…」
デスクの後ろにある小窓から、白いふわふわが空から落ちて来るのが見えた。
「おい、魅甘…雪ふ…」
思わず、隣を見るが誰もいない。
「当たり前か…」
こんなに離れているのは、仕事以外初だ。
瞳を閉じると、何故か魅甘の顔が浮かんでくる。
笑った顔、バカな顔、怒った顔、バカな顔、バカな顔、バカな顔。。。
『あっくーん!!』
「魅甘…」
『俺以外の男が魅甘に触れる?そう考えると何故か、イラつく。最近、自分が変だ。』
「ふぅー」
タバコと一緒に、ため息を吐く。
「ココは禁煙で、す!!!」
今、一番恋しい声が聞こえた。いや、しかし…偽者じゃないのか?と、彼女に近づく。頰っぺをつまみ上げる。
「ひゃにすりゅの!」
「いや…偽者にしては、大したもんだな…流石、変態喜助さんだ…」
魅甘は、阿近の手を払い頬を擦りながら涙目で、睨みつける。
「せっかく、デートドタキャンして帰ってきたのに!あっくんのバカ!もう、知らない」
軽く目を見開き、この可愛いくない生意気な性格は、本物だ。と確信に至った。
寒さのせいか、震えている魅甘。そんな、彼女を抱き寄せた。ふんわりと、タバコの香りが漂う。魅甘の、好きな香りだ。スッポリと、阿近の胸に収まる。昔は、魅甘と同じくらいの身長だった筈なのに…いつからだろうか。
「お前、バカだな。なんで、俺のところにくんだよ」
「だって…会いたかったんだもん。あっくんは、邪魔だと思うかもだけど…私、すごく会いたかったんだよ」
「馬鹿野郎」
「ごめんなさい」
ハグの力が強くなるのを感じた。
「え?」
「そんなこと言われたら…離したくなくなるだろ」
あっくん?と、尋ねる前に彼にキスされていた。
2人の恋物語が、動き出した、、、。