第8章 クリスマス企画
〜技術開発局・書類のお片付け〜
「ふんふーん♪」
「なんだ?魅甘機嫌が良いんだな」
上機嫌の魅甘に、阿近がタバコを加えながら尋ねる。
「わっかるぅ!?そうなの!今の私めちゃくちゃごきけんだよ!多分、今何されても怒らないと思う」
その自信は、何処から来るのかと聞きたい阿近。
「ちーび」
「んッ?!チビだって?!」
「駄目じゃねぇか」
魅甘の上辺だけの笑顔が、阿近の一言で音もなく崩れる。あら、いけない。と、再び微笑む魅甘のオデコにデコピンを食らわせた。
「で?なんで、そんなに浮かれてるんだ?」
「ふふ!なんと!今月は、現世のお祭りでくるしみます?ていう、イベントがあるんだって!」
「クリスマスな…」
ふぅー…。壁に背を任せて白い息を吐く阿近。内心、コイツ超絶バカと言いたいが、胸の内に秘めることに決めた。
「あ!それそれ!修兵さんと、現世に行くんだ!つられとうらはらさんも、2人で現世行くって言ってた!嬉しいんだ」
「お前、本当に現世のイベント好きだな」
「うん!大好き!」
魅甘の無邪気な笑顔を見て、阿近の胸は不覚にもときめいてしまったのだ。
咄嗟に、胸を押さえつけてしゃがみ込む阿近。魅甘は、大丈夫っ?!と、阿近に近づく。
「近づくな…」
「え?」
そこに。。。
「なんだ、阿近たらココに居たのね…喜助が探してたわよ」
つられだ。阿近は、わかった。と、顔を伏せて部屋から逃げるように去った。
「どうかしたの?ケンカ?」
しゃがみ込んでいる、魅甘につられはそっと寄り添う。
「う、ううん。なんでもないよ」
「そう?」
何処か切ない魅甘の表情に、つられは見逃さなかった。
魅甘の、脳裏に映る…阿近の言葉。
『近づくな』
バカ…昔は、ふつーに手繋いでたのに…。。。