第6章 家族だから
「…ん」
少女は、まだ眠たそうに目を擦りながら、優しく微笑むつられと浦原を見て心底安心する。
「ごめんね、置いていって…大丈夫もう、離さないわ」
「ボクたちがついてますよ」
浦原は、優しく少女の頭を撫でてやる。
「あら、引き取るの嫌がってたクセに優しいじゃない」
「そりゃあ、つられとボクの子供ッスからね。魅甘は。。。」
「みかん?」
突然の名前に、少女までピクリっ。と、動く。浦原は、続ける。
「『魅力の中に甘さがある。魅力的な女性に、育って欲しい』と、言う意味を込めて」
「素敵ね!魅甘!」
魅甘と、名付けられた少女は、嬉しそうに瞳をキラキラとさせて2人に飛び付く。
浦原と、つられは、よしよしと優しく魅甘の頭を撫でてやる。
「何があっても…」
「ボクたちが、守ります」
すると、魅甘は、大きな声で泣き出した。
「大好きよ、魅甘」
「大好きッスよ、魅甘」
コレが、『家族』なのかもしれない。
コレが、『家族』の温かさかもしれない。
魅甘は、泣き疲れて再び眠りに入ってしまった。
「私たちの子供…ね」
「そういう気持ちで、育てましょう。愛情をたくさん込めて…」
「そうね」
「あ、勿論。つられにも、たくさんたくさん愛情を「いらないから」
浦原の言葉を遮るつられに、ちぇ。と口を尖らせる。そんな、彼を見て笑みが零れた。
「頼りにしてるわよ、ダンナ様」
「え?ダンナ?!今、ダンナ様て!」
「もう、喜助!うるさい、魅甘が起きちゃうでしょ!しぃー」
「ダンナ様って、言いましたよね?」
「知らない」
「え、待って下さい!5行くらい戻りましょう?!読み返しましょう?!」
「いいから!」
浦原の声が、つられの声が、魅甘は心地よかった。。。