• テキストサイズ

Green~君といた季節~【気象系BL】

第27章 君が描いた未来



翔の携帯にかかってくる電話の回数が、日に日に多くなってる。

翔も時にはイライラした様子で対応している。

.....返さなきゃ...いけないよね。
彼の事...
彼が本来いるべき場所に...


もう、
十分だ。

.....うんん、十分なんてない。
いつまでだって一緒にいたい。
でも....


忘れるところだった。
翔と離れる決心をした最大の理由。

病が俺を蝕んで、
俺が俺でなくなったら...

そんな姿を翔に見せたくない。
翔のことが、分からなくなってしまうのが怖い...

世界で一番大切な人だから。


「ねえ、翔...」

ベッドから翔を呼んだ。

PCを開いていた翔は、
「何?...あ、ちょっと待って、1分...いや30秒..」

「帰っていいよ、病院に」
「えっ??」

翔は手を止めて、驚いた顔して俺を見た。

「病院の方...大変でしょ?翔がいないと...」

「でも...」

「俺は大丈夫だから...もう十分、翔といて..」
「そんなこと言うなよ!十分何て...そんなこと...」

翔は急いでベッドの側に来て、俺を抱き締めた。

「ずっといるよ!雅紀といる...だから」

......翔...俺だっていたいよ。でも...

「じゃあさ、ちょっとだけ帰って、いろいろ指示出したりしてきてよ。その間、俺待ってるから...」

翔は黙って俺を見ている。

「ね!翔が戻って来るのを、俺、待ってるから...」
「...でもさ...」
「翔が来るまで、死ねないじゃん~?
絶対、元気で待ってる。約束するから!ね?」

翔は、思案顔で目を伏せ、あれこれ考えていたみたいだけど、決心したように顔を上げ、

「じゃあ、ちょっとだけ...直ぐに戻るからね!」

「うん。分かった...大丈夫だよ。」


その翌日、翔は担当のドクターと話をしてから、東京に帰って行った。



/ 543ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp