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Green~君といた季節~【気象系BL】

第5章 大人になるということ



俺は父親と二人で、
怪我をさせた三宅先輩の家に謝罪に行った。

先輩の家は、小さな個人病院だった。
『内科・小児科』と書いてあった。

玄関には先輩とお母さんが出て来て、

「すみません...主人は往診に出ていて...」

「いえいえ、いいんです。
この度は家の翔が、三宅先生の坊ちゃんに怪我をさせてしまって。本当に申し訳ありませんでした。」

俺の横で、深々と頭を下げる父親...

「ほら、翔も...」

「ごめんなさい...」

すると、先輩のお母さんは、

「止めてください...大したことないですから。
それに、どうせうちの子が、櫻井先生の坊ちゃんに、何か言ったんでしょうから...謝らないでください。」

「しかし、怪我をさせてしまったのは、
事実ですから...これ、つまらないものですが...」

父はそう言って菓子折りを置いた。

「すみません...上がってお茶でも...
主人も帰ってきますから...」

「いえ、今日はここで...」

横を向いてふてくされたような先輩に、

「健くん..だったね...翔がすまなかった。
これからも、仲良くしてやってくれ...」

そう声を掛けた。

先輩は黙ったまま、ゆっくり頭を下げた。


いつも病院で上の立場にいて、
人に頭を下げることなんか、ないだろうに...

親として俺のために、しっかり謝ってくれた父...

俺のことより病院が大事だって、
俺のことなんか、何も考えてくれてない、
そう思っていたから、

俺は、そんな父の姿を見て、胸が苦しくなり、
申し訳ない気持ちで、いっぱいになった。

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