第26章 未来への地図
【 雅紀side 】
翔と一緒に櫻井総合病院で働くようになって、
何回目かの冬を迎えた。
俺は小児科の副師長になっていた。
院長先生からは、
『雅紀にはいずれは翔の片腕としてこの病院を任せたいから、事務長になってもらうよ』
そう言われてるから、
看護師としての仕事と併せて、事務の方の仕事も教わりながらやっている。
翔とも、長く一緒に居るけど、相変わらずのラブラブで...
まあ自分で言うのもなんだけどね。
くだらないことが切っ掛けで言い合いもするけど。
それもいつの間にか忘れてるかな~?
仕事で話さなきゃいけない事があるから、
寧ろそれに助けられてるのかも...
翔は、循環器内科分野でも、頭角を現し、
世界有数の手術成功率を誇る心臓血管外科チーム・サクライを率いて、忙しそうだった。
その評判を頼りに、大勢の心疾患患者が後を絶たなくて。
忙しいのは病院の経営的にはありがたいけど、
正直、翔の身体も心配だった。
「翔...たまにはゆっくり休んでさ、旅行にでも行こうよ...」
夜、ベッドでそう言ってみた。
そう簡単には行かないことは百も承知だけどね...
「雅紀...ごめんね、全然ゆっくり出来なくて。
旅行行きたいなら、友達と行って来ても...」
「翔!...俺は翔と行きたいんだよ...
ごめん...そうじゃなくて...少し休んで...体壊すよ...」
すると翔は俺のおでこに唇を落としてにっこり笑った。
「俺は大丈夫だよ。
そんなこと言うなら、雅紀だって。小児科と事務と掛け持ちで、大変でしょ~?たまには、ゆっくり休暇取って...」
俺は翔に抱きついた。
心配している俺の方が、心配してもらってて...
何やってんだか...
俺達は抱き合って温もりを分け合った。