第24章 一緒に生きるということ
【 翔side 】
「あ~...緊張するよ。翔...」
「大丈夫だって。もう行こうか?」
「...俺、もう一回トイレ行くよ...」
「フフフッ...はいはい...」
リビングの脇の鏡で、雅紀が全身をチャックする。
今日は薄いグリーンのジャケットを羽織り、下は紺の綿パン。いつも以上にカッコ良くて、爽やかだ。
「可笑しくないかな~?」
「カッコいいよ、雅紀...」
「そう~?...そう、かな...」
もう、何時までやってても仕方ないので、俺は雅紀の手を引いて家を出た。
二人で休みの日の昼間。
合わせて取った休みの日。
いい天気だ...
空はどこまでも青く、遠くに僅かに白い雲がいくつか浮かんでいた。
俺は雅紀を助手席に乗せ、駐車場を出た。
車の中でも、雅紀はそわそわと落ち着かない。
「雅紀...大丈夫だからさ...いつもの雅紀でいてよ...」
「いつもの?...いつもって、俺、どんなだっけ~?
もう、分かんないよ~( ;∀;)」
全く...
俺はそんな雅紀を見て、ひとり笑っていた。
信号は、驚くほどに引っかからない。
日曜日の昼にしては、妙に空いていて不思議なくらい。
道路もきっと、俺たちに『進め』と言ってくれているんだ。
そう思って俺はアクセルを踏み込んだ。
雅紀の気持ちと裏腹に、車は空いている道路をすいすいと走り、あっという間に目的地に着いた。
そう。
目的地と言うのは、俺の自宅。
緊張する雅紀は、何度も訪れている場所だ。
でも、今日は勝手が違う訳で...
「着いたよ。」
声を掛けて、やっと雅紀は車のドアを開けた。
「ほら、行くよ...」
「...うん..」