第23章 命の重さ~second~
「それは違う。
翔はドクターとして以上に、田村さんに寄り添っていたよ。
田村さんはきっと、感謝しているはずだ。
『翔先生に診てもらってよかった』って...
また、太郎と暮らしたいっていう夢を見ることで、希望を持って、最後の瞬間まで、精一杯に生きたよ...」
「.....雅紀...」
驚いた。
手紙を見たわけじゃないのに、
雅紀の言葉は、そっくり田村さんの言葉だった。
何も言わない俺の頬を、ハンカチを出して拭いてくれた。
ゴシゴシ拭くから、
「いっ、痛いよ、雅紀...」
「えっ?あ、ごめんごめん...あれっ?赤くなっちゃったかな~...」
ブッ...俺は吹き出した。
涙でぐちゃぐちゃの顔で...
後から溢れてくる涙と、込み上げてくる笑いで、俺の顔、今最高に不細工だ。
「...翔...笑ってて...そうやってさ...」
「...雅紀...」
また涙が零れた。
すると雅紀は、俺の頭をグッと引き寄せ抱き締めた
「でも、泣きたいときは俺が受け止めてやるからね。俺の前で泣いて...俺が翔の全部を受け止めるから...」
暫く泣いて、俺は、田村さんの手紙を雅紀に見せた。
............
その1分後。
わあわあ、大声で泣く雅紀のことを、俺は抱き締めて慰めていた。
...何だよ、全く...
慰めてくれるんじゃなかったのかよ。
俺は、しゃくりあげる雅紀の肩を、何度も何度も擦っていた。
この先も、きっと、悲しい別れがあるだろう。
でも、雅紀が隣に...
こうして隣で泣いてくれるなら、
俺はきっと乗り越えていけるだろう。
......雅紀...ありがと。
これからも、ずっと、側にいてね...