第22章 命の重さ
「そんな俺を救ってくれたのは、友達だった...
戻って来いと...守ってやるからと...」
そう。
今の俺があるのは、たくさんの仲間のお蔭。
絶望の淵にいた俺を、再び光の中に連れ出してくれた、仲間の存在。
感謝してもしきれない...
「サッカーは出来ないかもしれないけど、君にできること...涼介くんがやりたいと思うことがきっとある。
将来、自分が人生を傾けてもやりたいと思う、そんなことが、きっと見つかる。
そのためにも、今は治療に専念しよう。
頑張る気持ちに、しっかりついてきてくれる身体を作ろうよ...」
彼の母親が泣いている。
涼介くんは...
目を伏せている。
......俺の言葉を、考えているんだろう。
さっきの興奮した彼ではなく、
じっと自分のことを考えている...
そんな表情で。
「涼介くん...俺と、頑張ろう...」
「......先生...」
......彼は静かに頭を下げた。
「よろしく、お願いします...」
小さく、でもしっかりとした声で、そう言った。
俺は嬉しくて、涼介くんの肩を思わず掴んだ。
彼の目は、しっかりと俺と、未来を見つめているように、キラキラしていた。
......生きていれば。
生きてさえいれば、絶対いいことある。
あの時、前を向いてよかったと、
そう思えるときがきっとくる。
......俺がそうだったように。
俺は、その後。
今後の治療について、話をした。
この子を、ちゃんと治してやることが、
医者として、人生の先輩として、
俺がやるべきことなんだ...
そんな気がした。