第17章 医学の道、その2歩目
病院実習での経験は、
色んな意味で考えさせられることが多く、
漠然としていた将来のビジョンが、薄っすらと形を作るきっかけにもなった。
そしていよいよ、安曇野へ出発の日。
集合場所に二人で行くと、大勢の学生が集まっていた。
「お~い!櫻井///こっちこっち~」
岡田くんが翔のこと呼んでる。
幸い班が違うから、向こうでは日中別行動が多いけど。何かとこうやって翔のこと自分の側に置きたがる...
......まあ、いいけどね(--〆)
翔とは、ちゃんと気持ち確かめ合ってるし~?
あなたの入る余地なんかないんだから...
......別に、余裕だし、俺...
......(-"-)あのさ、でも、密着しすぎだよ///
岡田くんと数人の仲間が翔と話しているのを、少し離れて見てた俺の肩に、不意に井ノ原さんが腕を回してきた。
「翔は人気者だからね~🎵気が気じゃない??」
「えっ??」
焦って彼の方を見ると、優しそうな目を細めて笑ってて...
...どう答えたらいいんだろ?
俺たちの関係、知らないよな~...
「大丈夫だよ!翔は相葉くんしか目に入ってないから♪」
「......いや、あの...」
焦る俺を見て楽しそうな先輩は、
肩を叩いてから行ってしまった。
......あの人、気付いてるんだ、俺たちの関係。
でもまあ、悪い人じゃないかな?
それをどうこう言ってネタにするような人じゃなさそうだし...
「雅紀!バス乗るよ~🎵」
俺が井ノ原先輩の後姿を見送っていると、
翔が駆け寄ってきた。
「あ..うん」
「岡田くん、いい人なんだけどさ、強引なんだよね~...」
...翔、それは君のことが好きだからだよ..
その言葉は、心で止めておいた。