第16章 医学の道も一歩から
【 雅紀side 】
翔と過ごす毎日は、
実習や試験などで、すれ違うことも少なくなく。
お互いが自分の部屋で勉強したりしているときは、
邪魔しないのが暗黙のルールになっていた。
俺は、翔の大学のボランティアサークルに参加することになった。
これは翔のたっての希望だった。
俺としては、翔の大学になんて、おこがましいし、彼の大学生活に割って入るようなことはしたくなかったから、遠慮してたんだけど...
翔が、どうしても、泊りのボランティア活動なんかがあって、俺も連れて行きたいっていうので...
......そりゃあさ。
嬉しいじゃん?そんなこと言ってくれると。
それに、俺の大学からも、そこに入ってる人もいて...
『気負わないで気楽に来ればいい』っていう翔の言葉を信じて、参加することにした。
実際に、そこにはいろんな大学から、
たくさんの人が参加していた。
今日は、俺が参加する初めてのミーティング。
ホントは人見知りな俺は、正直緊張して、
心臓が踊りだしそうだった。
翔は、もうだいぶ前から活動していて、
知り合いも友達もたくさんいるようだった。
「そんな、ガチガチになんなくってもいいって..」
そう言いながら、翔が俺の右肩を揉んだ。
「......うん...分かってる..」
...そう言われてもさ。
緊張で強張る俺のこと、翔は笑っていたけど。
ミーティングが始まり、その中で、グループに分かれて、児童施設に行くためのゲームや出し物を決めることになった。
「初めまして!君が相葉くん?櫻井が、どうしても連れてきたい奴がいるからって、ずっと言ってたんだ...
櫻井、やっと落とせたんだ~?」
そう笑ったのは、井ノ原先輩。
笑顔が印象的な人だった。