第14章 すれ違う中で
【 翔side 】
雅紀は、良くできた嫁みたいだった。
朝も早起きして朝食を作ってくれる。
一人暮らしのときは、面倒だから朝御飯なんか食べてなかったし、それに慣れてたから、
雅紀にも、いいよ。ってそう言ったんだけど。
ついでだからって。
和食の、ご飯と味噌汁に玉子焼きの時もあれば、
今朝はトーストにスクランブルエッグ...
そこについてるベーコンの焼き加減がまた、絶妙だった。
「あ...うめっ///」
「そう?よかった..コーヒーまだおかわりあるからね♪」
「なんかさ、雅紀、奥さんみたいだね」
思ったままを、言ったのに、雅紀は真っ赤になった。
「雅紀、片付けはやっとくから..」
「ホント?悪いね、じゃ、頼んだ!」
「りょうか〜い♪」
雅紀は今日から、病院の実習になる。
学校の授業の時より早く家を出なくちゃいけないから、いつもより余裕がない。
バタバタと雅紀が出掛けてから、
俺は、ゆっくり洗い物をして、洗濯を干した。
今日は2限目からなので余裕があるんだ。
俺は、インターンも入れて卒業まで6年かかるけど、雅紀は4年で終わる。
その分授業や実習も忙がしいんだ。
リビングをざっと片付けて、俺も出掛けた。
大学には歩いて10分弱。
自転車で行くことが多いけど、朝余裕があるときは歩くようにしてる。
いい天気で気持ちのいい日だった。
病院の前を通りながら、雅紀、頑張ってるかなぁ、きっと、緊張してるんだろうな〜...なんて思った。
すると、後ろから走ってきた同じクラスの遠藤が、俺の肩を思いっきり叩いた。
研究室も一緒で、この頃仲良くなったんだ。